2015年8月5日に、椎名林檎の両A面シングル「長く短い祭 / 神様、仏様」が発売されます。

「長く短い祭」は、コカ・コーラの、「神様、仏様」は、auの「isai vivid」CMソング(「ちちんぷいぷい」とかもたしかこれのCM曲でした)として書き下ろされたもので、すでに聴いたことのある方が大半かと思います。 



初回生産分しか発売されないんですね。 

今年の彼女は椎名林檎名義での活動がめちゃめちゃ活発です。

昨年のアルバム「日出処」リリースから、「林檎博2014」の開催、2015年シングル第一弾、そして第二弾である本作の発売、そしてさらにはそのレコ発ツアー「椎名林檎と彼奴等がゆく」開催決定まで、ずーーっと継続して動いてらっしゃいます。とくに印象的なのはフェスへの出演で、僕がこの記事を書いている2015年8月1日のまさに今頃、彼女はROCK IN JAPAN FESに出演されているはずです。ちなみに先日はフジロックにも出演されておりました。観に行かれた方が大層うらやましいです。

っていうか考えてみれば彼女、事変時代から、っていうかなんなら事変結成前から、たぶん名義は変えながらもずっと休みなしに音楽活動を続けているんじゃないでしょうか。ほんとにすごいな……。


すみません、話が脱線しましたが、このシングル、両曲共に素晴らしいんですが、とくに一曲目の「長く短い祭」。これはやばい。久々にビビっときました。すごい。

 

 やはり第一印象としてあるのは、浮雲さんの圧倒的存在感でしょうか。もはや「林檎と浮雲」とかの名義で活動した方がええんちゃうかという感すらあるこのお二人なんですが、今回も例外なく浮雲さんがたいへん良い味出してます。

しかしそもそもこの曲、椎名林檎と浮雲さんというアクの強いお二人が声を電子音(?)に変えて歌う、という、ともすればたいへんクセのあるものになる可能性を秘めているわけなんですよ。でもそうはならずにこれだけキャッチーな、ノリのいい印象を与える曲に仕上がっている。それはひとえにこの、圧倒的に美しい日本語の並んだ歌詞の力に他なりません。



歌いだしの
天上天下 繫ぐ花火哉 万代(とこしへ)と刹那の出会い
とか
今宵全員が魁 一枚目よ
とか
永遠なんて素っ気ないね
ほんの仮初めがいいね
とか
ちょいと大輪の枝垂れ柳 蘇る一夜の走馬灯
とか。これらの美しい日本語たちが林檎さん独特のセンスで組み合わされて、「祭」の空気を演出しておるわけです。この「長く短い祭」に関わらず林檎さんの曲たちは、こういう歌詞とメロディ(っていうか曲全体)との計算されたアンバランスさが最高に心地よいんですよねえ。

そう。ただ小難しい言葉を並べているわけじゃないんですよ。だってここまでちょっと文語チックな日本語を並べると、普通はさすがにクドいというか、めちゃクセが強い曲になっちゃうと思うんです。でも、話がループしますが、それをあの電子ボイスと、なによりあの浮雲さんとの掛け合いによって、見事にキャッチーな曲に変換 しちゃってるんです。このすべての要素が無駄なく支え合ってるかんじ。すごい。

Mステでは、なんかお祭のやぐらみたいなとこに浮雲さんと和服姿でキーボード前にした状態で向かい合って間にヒイズミさんかな?別のキーボードの方がいる、といった形で歌ってらっしゃいました。周りに阿波踊りの衣装着たダンサーなんかもいて、数分なのにかなりインパクトのあるパフォーマンスでした。

考えてみれば、これまで事変時代からここまで季節感を色濃く出した曲って、林檎さん、一曲も出してない気がするんですよね。「御祭騒ぎ」とか「祭」と言いながらもなんかリオのカーニバルみたいなリズムの曲だし。これを冬に聴いた時にどんな印象を受けるのかちょっと想像がつきませんが、とりあえず今年衝撃を受けた曲ランキング上位に入ること間違いなしな1曲でございました。