買いました。宇宙兄弟26巻。


宇宙兄弟(26)
小山宙哉
講談社
2015-07-23

 
※すみません、最初に言っておくと、書評(というか本の感想)をこのブログに載せるのは今回がはじめてです。今は量を書くことが大事だと思ってますので、メモ程度の、本当に少量の文章でもがんがん記事にしてあげていくことになると思うので、あらかじめご了承ください。がんばって面白い考察記事書けるようになります。

 ■そもそも前巻までの流れが最高だった

皆様覚えておいででしょうか、前々巻24巻からこれまでの流れを。今回ご紹介する26巻は、これまでこの作品を、感情を込めて頭から丁寧に読んできた方にとってはほんとに素晴らしい巻であったわけなんですが、それはこれまでの流れが本当に素晴らしかったからに相違ないと思うのです。

前々巻からのストーリーをざっとおさらいするとこんなかんじでした。

・ジョーカーズメンバーのカルロ、父の過去を知り、死を看取った後帰国するもメンバー選出には間に合わず
 →しかしバックアップクルー、モッシュのファインプレー(ドロップキックからの骨折)により奇跡の再選出
・ALSが進行し、心が折れかけたシャロンおばちゃんへ、六太は彼女がかつて発した一言「人はね、誰かに”生きる勇気”を与えるために生きてるのよ」「誰かに 勇気をもらいながら」を伝え、ハグする
・カルロの選出漏れの危機などトラブルはあったものの、無事ジョーカーズ全員での月行きを決めた六太。
少年時代、少しずつ宇宙飛行士という途方もない夢をあきらめかけた過去を思い出す六太を乗せ、アレスⅤは宇宙へと旅立つ

いやいや今思い出しても素晴らしい。主人公六太の、これまでの20数巻分の努力が実る直前の過程を描いているわけですからね。それだけでもすばらしく感動的なのに、そこにシャロンおばちゃんへのハグみたいな短くもおそろしく心に刺さる話を挟んでくるんだから。ああ、もう(言葉が出ない)。

で、念願の宇宙へ、シャロンおばちゃんへの思いと共に突入した六太は… というところがこの26巻なわけです。やばい、書いててまたテンション上がってきた。


■今巻の内容、見どころ (※超ネタバレあり)

というわけで今巻を買いました。

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この表紙はなにを表しているんでしょうか。あくまで推測でしかないですが、あれじゃないかなあ、たぶんこの漫画の初期、宇宙飛行士選抜試験編で、六太がJAXAに展示している宇宙服の顔部分に自分の顔を映し出して悦に浸ってるシーンがあったじゃないですか。あれのオマージュなんじゃないかな。いやきっとそうですよね。

で、内容。宇宙空間に突入した六太。感動している最中、彼の携帯にこんなメールが。

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おおおおおおおヒビチョフキターーーーー!彼はいったいどこで何をやっているんでしょうか。そしてどこかの巻で言ってたように、なんでもなかったかのような顔でひょこっと帰ってくる、そんな彼のキャラクターが改めて垣間見られるこのシーンでございました。その時の六太の表情もいいですね。

で、こんな感動的なシーンがあったのもつかの間、なんと日本にいるシャロンが、呼吸困難に陥り、急きょ手術をすることに。それを知り六太はおおいに動揺するも、クルーの月着陸の日は迫ります。
そして月着陸のまさにその時、奇しくもシャロンは手術真っ最中。そんなシャロンを思いながら六太は自身の乗る船の着陸無事を祈りますが、なんと船は、月に転がる大岩の上に乗り上げ、着陸が困難に。ですが、六太の咄嗟の機転で、着陸はなんとか無事成功します。この六太の活躍が手術中のシャロンに伝わったのか伝わらなかったのか、シャロンの手術も無事成功します。

そして六太は、弟日々人に続き、日本人二人目のムーンジャンパーとして、月に第一歩を踏み出すのです。

…というのが今巻のざっくりしたあらすじです。

■思ったこと 

この巻で、六太は宇宙空間に到達し、月の上に立ちます。ということはつまり、六太が、というかこの漫画が25巻ほどかけてずっと積み重ねてきたもろもろ全てが実を結んでいる瞬間をここで描いているわけなんです。
宇宙船とISSのランデブー、日本への六太のTV中継(あ、録画か)、家族、そしてシャロンとのやりとり。今巻では、それら全てが楽しげに、でも宇宙兄弟らしく、若干のゆるさを持って描かれています。前巻はアレス打ち上げの勢いとともに、宇宙に飛び立つ感無量の六太を描く怒涛の巻でありましたが、今巻は、六太の夢が叶っているその瞬間をじっくり丁寧に感じ描いてくれる巻でありました。

そして個人的に最もうれしかったのは、この物語がまだまだ全く終る気配を見せないことです。
月での六太のミッションは?日々人の復活は?やっさん、福田さんらの民間飛行士組の出番はあるのか?などなど。これからもこの物語は僕達をおおいに楽しませてくれるのでしょう。 

ああ、夢っていいな、宇宙っていいな。はじめて『宇宙兄弟』を読んで抱いたこの気持ちを思い出させてくれました。