先日秋葉原のブックオフをぶらぶらしてたら、こんな本(ていうか雑誌)をみつけました。
 
 


ご存知、ロッキングオンが発行する音楽誌「ジャパン」の創刊20周年特別号です。今から8年前に発行されたものですね。Amazonでは中古本のみ、1円から販売されてます。ブックオフでは108円で売ってました。こいつが、なかなか面白かった。

Amazonさんの商品詳細のところを見るとこんなかんじで紹介されています。
●ROCKIN'ON JAPAN 創刊20周年大特集
1986年、「シリアスなロックをシリアスに語る」をテーマに、当時隆盛を極めていたぬるいアイドルロック誌を蹴散らすべく創刊したロッキング・オン・ジャパンも今年で20周年を迎えます! 激動の日本のロックの歴史と共に歩んできたその足どりを振り返る、初のメモリアル・イシュー! 時代を拓いたセンセーショナルな表紙、時代を背負い、時代を変え、時代を作ってきたアーティストたちの、懐かしくてカッコ良くって目がクギ付けになるグラビアも約150点と贅沢に収録、さらに過去の衝撃インタヴューの再録、本誌の影の主役ともいえる歴代の名物コーナー紹介など、今ではお目にかかれない貴重なヴィジュアル&テキストが満載、
計80ページの巻頭大特集です! 
今となっては時に「ライターの自意識が鼻につく」「広告至上主義の雑誌のくせにジャーナリズムぶるんじゃねえ」など(僕が思ってるわけじゃないですよ!そういうことをおっしゃる識者の方がいるってだけですよ!)の批判にさらされるこの雑誌ですが、そもそもは「当時隆盛を極めていたぬるいアイドルロック誌を蹴散らすべく創刊した」ものだったんだそうです。そんなカウンターカルチャー精神をもっている(いた)会社が、今や10万人以上を動員する日本最大のロックフェスを運営し、「カウンターカルチャーにおけるメインカルチャー」を作り出す存在となってしまっている現在の状況を思うと「何言ってんだ」感は抱かざるを得ないわけなんですが……。 


ここまで煽られたら買うしかねえだろってことで、買いました。

実際買ってみるとROCKIN'ON JAPANの毎月発行されている通常号に「創刊20周年特集」が入ってるってだけで、20周年特別号と言うほど大層なものでもなかったんですが、この特集が僕としては大変勉強になりまして。

要は上の煽り文の通り、「ジャパン」が創刊された1986年から、だいたい10年区切りで、それぞれの年代における代表的なアーティストの名前を挙げ、彼ら彼女らが誌上で特集された際のグラビア写真をだだだっと、おしゃれに並べていく、といった非常にシンプルな企画ではあるんですが。これが、平成2年生まれ、ゆとり世代ど真ん中の音楽好きとしては非常に新鮮なわけですよ。 

2014-12-20-15-42-06


そもそも1980年代、僕たちの生まれる直前に、僕たちの定義する「ロックバンド」と呼ばれるような人たちがいたことそのものが、僕たち世代からするとあまりイメージがつかないわけです。
もちろんRCサクセション、THE BLUE HEARTS、BOØWY、尾崎豊といった人たちの名前だったり曲だったりは、たまにやってる懐メロ垂れ流しのテレビ番組なんかで見知ってはいるんだけど、その人たちが「ジャパン」編集部が言う「ぬるいアイドルロック」と対になるカウンターカルチャーの筆頭である、というのがどうしてもイメージできない。だって、そんな「ぬるいアイドルロック」と並んで彼らの情報を入手しているのが僕たち世代なんだから。しかし実際に当時のグラビアを眺めてみると、そういう存在としての彼らを感じられるのです。「Mステで見る昔のサザン」がデフォルトである僕たちからすると、80年代のサザンがこんな風に雑誌のグラビアでかっこよくポーズを決めているのは非常に新鮮なんです。


 そして、そんな先人たちの音楽が残したものが積み重ねられたその上に、今僕たちが夢中になっているバンドたちが立っていることを実感できたのもよかった。





1986-1989
2014-12-20-15-27-25

(「ジャパン」創刊当初は)佐野元春や尾崎豊やストリート・スライダーズ、ルースターズ、浜田省吾、RCサクセションといった、強力な常連アーティストたちに毎号のように登場してもらっていた
(中略)
(「ジャパン」創刊頃)勃発したバンドブームの中から、ボ・ガンボス、ザ・ブルーハーツ、岡村靖幸、ユニコーン、エレファントカシマシ、Theピーズといった、新しい時代の良質なロック・アーティストたちが次々に登場 

1990-1994
2014-12-20-15-27-49

80年代末期に巻き起こった空前のバンド・ブームが90年代に入ってさらに加熱
1992年頃、バンド・ブームも崩壊。音楽業界を不景気の波が襲い、ロック・シーンが活気を失っていく中、アーティストもファンも我々(「ジャパン」編集部)も、次のビジョンを模索しなければならない時期に差しかかる。(中略)ちょうどその時期、例えば小沢健二、小山田圭吾、オリジナル・ラヴ、ピチカート・ファイブ等の、のちに「渋谷系」と称されるアーティスト、そして電気グルーヴ、ソフト・バレエ、ブランキー・ジェット・シティー、マッド・カプセル・マーケッツ、ザ・イエロー・モンキー、スピッツといった非常に強い独自のカラーと方法論を持ったバンドたちは、それまでの音楽業界のルールとは違う形でリスナーにアピールし、新たなファン層を開拓していった。

1995-1999
2014-12-20-15-28-34

(エレファントカシマシ、スピッツ、ザ・イエロー・モンキー、ウルフルズ、ザ・ミッシェル・ガン・エレファントなどの)アーティストの作品が広まることでリスナーの耳や感性も柔軟になり、その柔軟になった耳がより高いレベルの音楽を求め、それにアーティストがまた応えていく―といった、健全なシーンのあり方が生まれ始める。 (中略) またラブ・タンバリンズ/カヒミ・カリィのクルーエル・レコードや、ハイ・スタンダードなどのパンク勢により、インディーズがメジャーを凌駕するようになったり(中略) 日本の音楽シーンに根本的な地殻変動が起きた季節が、90年代後半だった。

 2000-2006
2014-12-20-15-29-25

「ジャパン」の意志と影響力を正しくシーンに伝える形で、くるりやナンバーガールやスーパーカー、中村一義といったオルタナティブなアーティストをフォローし、(中略)バンプ・オブ・チキン、銀杏BOYZ、アジアン・カンフー・ジェネレーション、サンボマスターといったアーティストたちが誌面を支えてくれる存在として大きくなっていった。

これらは全て、この20周年特集の「各年代におけるロッキングオンの立ち位置」みたいなものを解説した頁から一部を抜粋したものです。ここで挙げられているアーティストの名は、それぞれの時代で活躍したアーティストのほんの一部でしかないけど、こうやって時代にわけてその名を並べられると、「ナンバーガールからのアジカン」みたいに、いろんな人に、いろんな形で音楽が受け継がれていることを見て取ることができて楽しいです(文字に起こされているのはこんなものですが、グラビアページには僕が今まで名前も聞いたことのなかったアーティストがちょくちょく見られました。今気になったアーティストをYouTube等で調べて勉強しているところ)。

他にもくるり岸田さんや、まだ相当にとんがってた頃のDragon ash降谷氏、ブルーハーツ初登場時のインタビューを抜粋して掲載してたり、2万字インタビューに答えたアーティスト一覧みたいなページがあったりしたんですが、そこは個人的にはそこまで面白いものではなかったです。

あ、あとはあれですね。単純に、一昔前のロッキングオンを流し読みするのはとても楽しい。

アジカンの「ファンクラブ」レコ発ツアーの ライブレポートだったり、SPECIAL OTHERSの「IDOL」の広告が挟まってたり、ROCK IN JAPAN 2006の第二弾出演者の一覧(今のメンツとほとんど変わってない)が載ってたり。発行当時高校生で、不器用にも、一生懸命いろんな音楽に手を伸ばそうとしていた僕は、非常に懐かしい思いを抱きながら読んだのでありました。


というわけで、あくまで1980年代中ごろ以降ではありますが、各時代における日本のロック音楽史をざっと感覚としてつかみ、深堀りするきっかけとして、この1冊はかなりいい教材になるんじゃないかなあと思い、紹介させていただきました。1円(送料別)で買えるし、年末年始のお供に、いかがでしょうか。