こないだ友達と旅行に行ったんですよ。そん時の話なんですけど。

旅行先で車に乗ったんですよ。そんでまあ、若者だらけの車旅行っつったら、やっぱり社内のBGMってすごい重要じゃないですか。てわけで、DJ役の僕はけっこう気合入れてCDガサっと持ってって(旅行先で借りたレンタカーはiPhoneとか対応してなかった)、くるりの「ロックンロール」とかハナレグミの「オアシス」とか、僕のイチオシドライブソング達をいろいろかけてったんですよ。


で、車に乗り始めて2時間後。車内では、アジカンの名盤『ワールド ワールド ワールド』収録の「NO.9」って曲がかかってました。


そして曲が終わりに近づき始めたころ、それまで後部座席でグーグー寝てた友人Aが急にムクっと起きてきて、「ちょ、今の曲超いいじゃん、もっかいかけて!」と言ってきました。
当然DJの僕は悪い気はしないです。「お、アジカンの隠れた名曲『NO.9』のリピートを希望するなんてお目が高いねえ」なんて言いながら、僕は「戻る」を押して、もっかいその曲を再生します。

しかし、約3分後。その曲が終わりに近づくと、その友人A、なんとオーディオの「戻る」ボタンの前で身構えてるんです。で、曲が終わると同時に、もっかい「戻る」を押しやがるんです。

ほうほうほうそんなに気に入ったか。さすがにちょっと飽きたけど、気に入ってくれたのはうれしい。もう一回聴いてやるか。そんなことを思いながら、僕はAにされるがままに、DJブース(=助手席)を明け渡します。

しかし約3分後、DJAはまたも「戻る」をタッチ。そしてまた3分後、「戻る」をタッチ。その3分後も、そのまた3分後も。もう病気みたいに、その曲を何回もかけ続けやがったんですよ。

僕らはさすがに頭にきて、「おいA、もう次の曲いけよ次の曲!さすがに飽きたわ!ゴッチがフーフー言うの聴き飽きたわ!」(「NO.9」はアジカンメンバー全員がフーフー言うコーラスが印象的な楽曲)と、同乗者の友人BはAに詰め寄ります。しかしAはあっけらかんと「いや、これが俺の音楽の聴き方だから」と言い放ち、その後も土肥温泉までの道中、車内は「NO.9」祭り会場と化したのでした。


■僕の音楽の聴き方

そもそも皆さんは、iPodやらで音楽を聴く時、どういう聴き方をしてらっしゃるんでしょうか。
僕の場合、まぁ例外はあるものの以下の3パターンに集約されると思います。

①アルバムを曲順通り再生
②自作したプレイリストを再生曲順通り、あるいはシャッフルして再生
③発作的に聴きたくなった曲を選んで再生(リピートはしない)

要は、まんべんなく、広く浅く好きな曲を聴くスタイルです(このブログで曲紹介をしたりするときは、そのために一曲を何周もしたり、曲の気になった部分に戻って繰り返し聴く、とかはします)。

ていうか、世の中のたいがいの人はこういう聴き方をしてるんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょうかね?

■ 友人Aの音楽の聴き方

ところがそいつは違ったんですよね。気に入った曲ができたら、もう病気みたいにその曲をリピートして聴きまくる。彼曰く、音楽は、歌詞もメロディも全て空で口ずさめるようになるくらいまで気合を入れて聴き込むべきもんなんだ、と。そうやって一曲一曲に真剣に向き合うことが作曲者に対する礼儀なんだ、と。

「作曲者に対する礼儀」はさすがに言い過ぎだろうと思いましたが、しかし同時にちょっと納得もしたんですよね。確かにまだiPodみたいなデジタルオーディオプレイヤーが普及してなかった頃、僕が中学生とかの時ですかね、MDとかCDプレイヤーで音楽を聴いてた頃は、お気に入りの曲を1曲リピートで繰り返し聴いて、歌詞もメロディも空に口ずさめるようになってた気がします。まぁお金がなくてばかばかアホみたいにCDレンタルできなかったってのもありますけど。今みたいに大量の楽曲を持ち歩いて聴くということができる今とあの頃では、1曲に対して入れ込む度合いが全然違う気がします。

■真似してみた

てわけで、僕もやってみました。一曲リピート法。通勤時間の40分間、ひたすらこの曲だけをリピートし続ける。他の曲はかけない。

感想から言うと、「けっこう良かったけど、ずっと続けるのは無理」というかんじ。2日で挫折しましたね。

最初はね、いいんですよ。その細かいギターのちょっとしたリフとか何回も聴き込まないと耳に入ってこないベースラインとか、歌詞を何回も口ずさまないと理解できないような、フレーズとフレーズのつながり、物語性とか、 とにかく「広く浅く」式より圧倒的にその曲に関するいろんな発見がある。

ちなみに、聴き込んでたのはこれ。


ASIAN KUNG-FU GENERATION「新世紀のラブソング」


アジカン縛りで。

でもやっぱり、連続で10周もするとだめですね。せっかく好きな曲が嫌いになりそうで。あの「新世紀のラブソング」のイントロの打ち込み音が聴こえるたびに「ああ…またか…」的な感情が襲ってくるようになる。「あの日僕がセカンドフライを上手に取ったとして」の名フレーズも10回も連続で聴くとさすがにアレしてきます。修行 のようでした。

ちなみに旅行での「NO.9」祭り時は、「旅行中の車内」という、何をやっても楽しいテンションによって旅行メンバーが「NO.9」ダンスを考案、みんな狂ったようにゴッチのフーフーに合わせて両手を左右にふりふりし、その場を乗り切ることができました。でも通勤電車内の「新世紀のラブソング」じゃちょっとそういうことはできないですね。

友人Aレベルの心の強さがなければ、この聴き方を続けられないと思いました。


■「1曲リピート」は使いよう 次第

 非常につまらん結論ですが、こういうことですね。

運命的に、雷に打たれたようなかんじでハマった曲があれば、20周でも30周でも延々リピートで聴けるのかもしれませんが、普通は、1曲リピートを多用し続けると頭がおかしくなってきますよ……。せいぜい新しく買った曲を何周かして聴き込んで自分のものにする、くらいの使い方しかしないのが普通だと思います。

 でもほんとに曲を文脈から構成から何から完璧に理解したい、という気持ちになったのなら、この聴き方をせねば理解できない境地が存在する、というのもまた事実なんでしょう。

個人的には、この機会に「広く浅く」な聴き方以外の選択肢ができたのは大変収穫だったなと思ってます。みなさんも1度試してみてはいかがでしょうか。