発売まで1ヵ月を切りました。椎名林檎氏が、2014年11月5日に、約5年半振りとなるニューアルバム「日出処」(読み方:ひいずるところ)をリリースいたします。
椎名林檎 | 『日出処』特設サイト - Universal Music Japan
椎名林檎、5年半ぶりオリジナルアルバム発売 - 音楽ナタリー
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椎名林檎のアリーナツアー『林檎博'14 −年女の逆襲−』を観た二人が余韻に浸っていろいろ語る
なんせ5年半ですからね……。小1が小6になるレベルの時間が、前作リリースから経過してるわけですよ。その間に椎名林檎の何がどうなって、どう変わったのか。そしてまた彼女のファンである自分も、その5年半で何が変わっていったのか。そういうことを考えながらこのアルバムを聴くことになっていくんでしょう。それほどまでに「椎名林檎がアルバムを出す」ということは事件なんです。
というわけで、今作「日出処」をより深く味わいつくすため、ここ10年くらいの椎名林檎の来歴をざっくりと、シングルを中心とした人気曲、有名曲をまとめる形で振り返ってみたいと思います。来月から行われるアリーナツアーの予習、ライブのセトリ予想なんかにも活用してみてください。
林檎博'14 -年女の逆襲-
■前作「三文ゴシップ」について
2003年頃に、林檎氏が「椎名林檎」としての活動を休止することを宣言して以降、彼女が「東京事変」なるバンドを率いてずっと音楽活動を行っていたことはあまりにも有名ですが、
参考記事:iTunesで購入できる東京事変のライブ映像作品集まとめ
なんだかんだ、事変としての活動と並行して、椎名林檎名義の活動もちょくちょくやってらっしゃったんですよね。
活動休止発表のわずか2年後にファンクラブ会員限定でライブを行ったり、そのまた3年後の2008年にはデビュー10周年を記念したライブイベント、「椎名林檎 (生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」を開催したり
椎名林檎名義でアルバム出したりもしてるんです。とくに椎名林檎×斎藤ネコ名義の作品である「平成風俗」はファンの間での評価もかなり高いです。
というかんじで、彼女は活動休止を宣言した後も、音楽シーンにおいてその存在感を全く薄れさせることがありませんでした。っていうかむしろ東京事変というバンドがリリースする楽曲のクオリティの高さも相まって、どんどん1アーティストとして神格化されていったと言うことができると思います。
そんな中でリリースされた、椎名林檎ソロ名義としては6年4か月ぶりにリリースされたアルバムが、「三文ゴシップ」です。
この作品がリリースされた2009年と言えば、東京事変がオリジナルアルバム「娯楽」(2007年発売)と「スポーツ」(2010年発売)をリリースしたそのちょうど間の年で、事変人気もまさに絶頂を迎えていた時。そんなタイミングでリリースされたこのアルバムは、なんと収録曲が先行シングル0曲のオール新曲(先行配信はあり)という超強気なラインナップ。
アルバムの内容は、ロックテイストの曲はほとんどなくて、「流行」「都合のいい身体」「旬」といったどこか大人っぽくジャジーなものが多く、東京事変はもちろん、これまでの椎名林檎の作品には収録されてこなかったイメージの楽曲が多く収録されていました。東京事変から彼女の音楽に入った僕としては、事変の楽曲のようなバンドサウンドが影をひそめているせいか、非常に新鮮に感じた覚えがありましたが、それはたぶん古惨のファンの方も同じだったんでしょうね。
で、「三文ゴシップ」発表後は、再び事変の動きが活発化。傑作「スポーツ」から「大発見」そして解散宣言と同時に発売を発表したラストミニ・アルバム「color bars」まで、ロックバンド東京事変は、全速力で解散までの数年間を走り抜けます。椎名林檎としての活動を休止し、東京事変というバンドを立ち上げてからの、あの頃のように。
しかしこの「『三文ゴシップ』以後の椎名林檎」の活動スタイルは、それまでの彼女と一点異なるところがあったんです。それは、東京事変と並行して、「ありあまる富」「カーネーション」といった、椎名林檎名義のシングル曲を定期的に発表するようになったこと。今思えばこれは「事変の終りの始まり」と「椎名林檎の再びの始まり」を告げるメッセージだったのかもしれませんね……。
■新作「日出処」収録曲について
で、その「ありあまる富」発表からの5年半を総括したものになるのであろうアルバムが、今作、「日出処」なわけです。
そう。特筆すべきなのは「今の椎名林檎」ではなく「この5年半の椎名林檎」を収めたアルバムになるのであろう点です。というのも、なんと、今回のアルバムには、この5年半に発表された椎名林檎名義のシングル曲が、全て収録されているんです。
というわけで、今回の新作「日出処」に関しては、収録曲のうち6曲は全て発売前に公開されているということになります。ちょっと順番に、各曲について解説していきたいと思います。
・ありあまる富(2009年5月27日)
前作「三文ゴシップ」リリースの、1ヵ月「前」に発売したシングル。なんでも「三文ゴシップ」の構成が決定された後に書き下ろされたため、アルバム収録が見送られたんだそうです。「椎名林檎」名義としては、なんと2003年リリースの「りんごのうた」以来のシングル曲だったんです。アンチ事変で椎名林檎信仰の方々はきっと狂喜されたんでしょうね……。
しっとり大人なバラード、聴かせる歌詞で攻める。それまでの椎名林檎と東京事変での彼女自身としてのありかたをミックスしたような、非常に上質な楽曲です。
「月に負け犬」「キラーチューン」「閃光少女」で垣間見える椎名林檎の無常思想、現在至上主義が全面に押し出された歌詞。僕は彼女の書く詞のこういうところがめちゃくちゃ好きで、故に当時は圧倒的事変びいきだったんですが、この曲にはやられました。事変でやるにはあまりに暗すぎるというか、椎名林檎の思想が出すぎてる。でも事変でのバンド活動という過程を経たからこそ書ける曲であることは間違いない、「椎名林檎」復活ののろしを上げるのにふさわしい楽曲でした。
で、この「ありあまる富」、今回のアルバムではなんと最新シングル「NIPPON」の次、アルバムの最終曲として収められている。で、新曲であるアルバム1曲目のタイトルは「静かなる逆襲」。なんという粋な構成なんでしょうか。これだけでも新作「日出処」への期待が膨らんでまいります。
・カーネーション(2011年11月2日)
前作「ありあまる富」の2年後、事変の「大発見」がリリースされた年に発売されたのがこの「カーネーション」。ご存知、NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」の主題歌です。朝ドラ主題歌ということで世間的な認知度も比較的高かったこの曲ですが、個人的にこの曲のすごさが最も世に知れ渡ったのは、2011年の大晦日に放送された、歌番組「NHK紅白歌合戦」だと思っておりまして。
2011年と言えば、東日本大震災が東北を襲った年で、その年の終わりを告げるこの番組を、みなさんとても特別な思いで観ていたと思うんです。そんな中で、彼女が東京事変をバックバンドとして歌ったこの曲。僕は泣きました。
・自由へ道連れ(2012年5月16日)
事変解散のほんとに直後ですね。「カーネーション」リリースのわずか半年後に発売されたのがこの曲。「自由へ道連れ」
新アルバム「日出処」では2曲目に収録されていて、アルバムの勢いを印象付けるような曲順にセッティングされています。
・いろはにほへと/孤独のあかつき(2013年5月27日)
昨年の5月にリリースされた両A面シングル。「いろはにほへと」は妖艶な曲調に妖艶な歌詞、PVでも和服を纏って色気全開。曲調とリズムが、どこか、あの名曲「歌舞伎町の女王」を連想させる1曲です。
2曲目の「孤独のあかつき」は「いろはにほへと」とは対照的な、事変時代を髣髴とさせるポジティブで力強い楽曲。すみません、MVの動画等はないみたいですので、iTunesの視聴かなんかで聴いて下さい。
こういうシンプルな構成、歌詞、メロディの楽曲でもちゃんとここまでのものに仕上げるところに、彼女の”本物”感を感ずにはいられません。たいへんバランスのとれた両A面シングルです。
・NIPPON(2014年6月11日)
これはまだ記憶に新しいですね。NHKのサッカーワールドカップテーマ曲として起用され、Mステやカウントダウンジャパンなんかでも演奏されてました。現時点での最新シングル「NIPPON」です。
この曲については、このブログでも何回かご紹介してます、音楽ライターの柴さんのnoteにたいへん良いレビューが上がってますのでそれを読んでもらうのがいいんじゃないかと思います。
椎名林檎「NIPPON」/勝ちにいく曲|柴 那典|note
そう、柴さんのおっしゃる通り、この楽曲が林檎氏の楽曲の中にあって特徴的なのは、明らかに一つのテーマを外部から与えられて、それになぞらえて作曲されているのであろう点。「日本」とか「青」とか、「戦士」とか。
・新曲「ありきたりな女」
一昨昨日かな? ついこないだYouTubeにMVが投下された、新曲です。
この楽曲に関して、自身のコメンタリー動画 で「『ミュージカルは林檎に書かせるしかない』と聴いた人に思わせるような曲を書いた」、「女性とは、人に『こうだ』と言われなければ自分がどういう人間なのかを認識しない生き物。でも、そんな女性であっても、私はこういう場面に来てしまったんだ と認識するような瞬間が人生にはある。この曲では誰もがミュージカルのヒロインになるような、そういう瞬間をテーマとして描いている」と語ってらっしゃいます。
曲を聴く前にこのコメンタリーを観た僕は、てっきり前作収録の「都合のいい身体」や、事変時代の「女の子は誰でも」のようなキラキラミュージカル風の楽曲を想像していたんですが、違いましたね。シリアスでドラマチック、かつ感動的な歌詞、構成の楽曲でした。
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椎名林檎のアリーナツアー『林檎博'14 −年女の逆襲−』を観た二人が余韻に浸っていろいろ語る
なんせ5年半ですからね……。小1が小6になるレベルの時間が、前作リリースから経過してるわけですよ。その間に椎名林檎の何がどうなって、どう変わったのか。そしてまた彼女のファンである自分も、その5年半で何が変わっていったのか。そういうことを考えながらこのアルバムを聴くことになっていくんでしょう。それほどまでに「椎名林檎がアルバムを出す」ということは事件なんです。
というわけで、今作「日出処」をより深く味わいつくすため、ここ10年くらいの椎名林檎の来歴をざっくりと、シングルを中心とした人気曲、有名曲をまとめる形で振り返ってみたいと思います。来月から行われるアリーナツアーの予習、ライブのセトリ予想なんかにも活用してみてください。
林檎博'14 -年女の逆襲-
■前作「三文ゴシップ」について
2003年頃に、林檎氏が「椎名林檎」としての活動を休止することを宣言して以降、彼女が「東京事変」なるバンドを率いてずっと音楽活動を行っていたことはあまりにも有名ですが、
参考記事:iTunesで購入できる東京事変のライブ映像作品集まとめ
なんだかんだ、事変としての活動と並行して、椎名林檎名義の活動もちょくちょくやってらっしゃったんですよね。
活動休止発表のわずか2年後にファンクラブ会員限定でライブを行ったり、そのまた3年後の2008年にはデビュー10周年を記念したライブイベント、「椎名林檎 (生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」を開催したり
椎名林檎名義でアルバム出したりもしてるんです。とくに椎名林檎×斎藤ネコ名義の作品である「平成風俗」はファンの間での評価もかなり高いです。
というかんじで、彼女は活動休止を宣言した後も、音楽シーンにおいてその存在感を全く薄れさせることがありませんでした。っていうかむしろ東京事変というバンドがリリースする楽曲のクオリティの高さも相まって、どんどん1アーティストとして神格化されていったと言うことができると思います。
そんな中でリリースされた、椎名林檎ソロ名義としては6年4か月ぶりにリリースされたアルバムが、「三文ゴシップ」です。
この作品がリリースされた2009年と言えば、東京事変がオリジナルアルバム「娯楽」(2007年発売)と「スポーツ」(2010年発売)をリリースしたそのちょうど間の年で、事変人気もまさに絶頂を迎えていた時。そんなタイミングでリリースされたこのアルバムは、なんと収録曲が先行シングル0曲のオール新曲(先行配信はあり)という超強気なラインナップ。
アルバムの内容は、ロックテイストの曲はほとんどなくて、「流行」「都合のいい身体」「旬」といったどこか大人っぽくジャジーなものが多く、東京事変はもちろん、これまでの椎名林檎の作品には収録されてこなかったイメージの楽曲が多く収録されていました。東京事変から彼女の音楽に入った僕としては、事変の楽曲のようなバンドサウンドが影をひそめているせいか、非常に新鮮に感じた覚えがありましたが、それはたぶん古惨のファンの方も同じだったんでしょうね。
で、「三文ゴシップ」発表後は、再び事変の動きが活発化。傑作「スポーツ」から「大発見」そして解散宣言と同時に発売を発表したラストミニ・アルバム「color bars」まで、ロックバンド東京事変は、全速力で解散までの数年間を走り抜けます。椎名林檎としての活動を休止し、東京事変というバンドを立ち上げてからの、あの頃のように。
しかしこの「『三文ゴシップ』以後の椎名林檎」の活動スタイルは、それまでの彼女と一点異なるところがあったんです。それは、東京事変と並行して、「ありあまる富」「カーネーション」といった、椎名林檎名義のシングル曲を定期的に発表するようになったこと。今思えばこれは「事変の終りの始まり」と「椎名林檎の再びの始まり」を告げるメッセージだったのかもしれませんね……。
■新作「日出処」収録曲について
で、その「ありあまる富」発表からの5年半を総括したものになるのであろうアルバムが、今作、「日出処」なわけです。
そう。特筆すべきなのは「今の椎名林檎」ではなく「この5年半の椎名林檎」を収めたアルバムになるのであろう点です。というのも、なんと、今回のアルバムには、この5年半に発表された椎名林檎名義のシングル曲が、全て収録されているんです。
前作「三文ゴシップ」に収録されているほとんどの楽曲がアルバムのオリジナル曲であったのとはあまりに対照的です。13曲中6曲が先行シングルですからね。01. 静かなる逆襲02. 自由へ道連れ03. 走れゎナンバー04. 赤道を越えたら05. JL005便で06. ちちんぷいぷい07. 今08. いろはにほへと09. ありきたりな女10. カーネーション11. 孤独のあかつき(信猫版)12. NIPPON13. ありあまる富
というわけで、今回の新作「日出処」に関しては、収録曲のうち6曲は全て発売前に公開されているということになります。ちょっと順番に、各曲について解説していきたいと思います。
・ありあまる富(2009年5月27日)
前作「三文ゴシップ」リリースの、1ヵ月「前」に発売したシングル。なんでも「三文ゴシップ」の構成が決定された後に書き下ろされたため、アルバム収録が見送られたんだそうです。「椎名林檎」名義としては、なんと2003年リリースの「りんごのうた」以来のシングル曲だったんです。アンチ事変で椎名林檎信仰の方々はきっと狂喜されたんでしょうね……。
しっとり大人なバラード、聴かせる歌詞で攻める。それまでの椎名林檎と東京事変での彼女自身としてのありかたをミックスしたような、非常に上質な楽曲です。
もしも彼らが君の何かを盗んだとして
それはくだらないものだよ
返して貰うまでもない筈
何故なら価値は生命に従って付いてる
ほらね君には富が溢れている
「月に負け犬」「キラーチューン」「閃光少女」で垣間見える椎名林檎の無常思想、現在至上主義が全面に押し出された歌詞。僕は彼女の書く詞のこういうところがめちゃくちゃ好きで、故に当時は圧倒的事変びいきだったんですが、この曲にはやられました。事変でやるにはあまりに暗すぎるというか、椎名林檎の思想が出すぎてる。でも事変でのバンド活動という過程を経たからこそ書ける曲であることは間違いない、「椎名林檎」復活ののろしを上げるのにふさわしい楽曲でした。
で、この「ありあまる富」、今回のアルバムではなんと最新シングル「NIPPON」の次、アルバムの最終曲として収められている。で、新曲であるアルバム1曲目のタイトルは「静かなる逆襲」。なんという粋な構成なんでしょうか。これだけでも新作「日出処」への期待が膨らんでまいります。
・カーネーション(2011年11月2日)
前作「ありあまる富」の2年後、事変の「大発見」がリリースされた年に発売されたのがこの「カーネーション」。ご存知、NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」の主題歌です。朝ドラ主題歌ということで世間的な認知度も比較的高かったこの曲ですが、個人的にこの曲のすごさが最も世に知れ渡ったのは、2011年の大晦日に放送された、歌番組「NHK紅白歌合戦」だと思っておりまして。
2011年と言えば、東日本大震災が東北を襲った年で、その年の終わりを告げるこの番組を、みなさんとても特別な思いで観ていたと思うんです。そんな中で、彼女が東京事変をバックバンドとして歌ったこの曲。僕は泣きました。
小さく丸めた躯は今この曲を林檎氏が書いたその時、2011年に日本を襲ったあの災害を彼女が予想していたとはとても思えませんが、あの紅白歌合戦で歌われた時ほど、この曲が僕の胸を打ったことはなかったです。持ってるな~彼女、と思いました。NHKオンデマンドかなんかで今でも観れるんじゃないのかな。おすすめです。
かなしみ隠し震えて
命を表しているのね
重く濡らした瞼は今
よろこび映す日の為
心を育てているのね
かじかむ指ひろげて
風に揺れ雨に晒され
遥か空へ身を預けて
・・生きよう・・
何も要らない私が今
本当に欲しいもの等
唯一つ、唯一つだけ
・自由へ道連れ(2012年5月16日)
事変解散のほんとに直後ですね。「カーネーション」リリースのわずか半年後に発売されたのがこの曲。「自由へ道連れ」
それまでの2作とは打って変わって、ロックテイストの疾走感あふれる楽曲に仕上がってます。なんというか、古参の林檎ファンの方々はこういうのを待ってたんじゃないでしょうかね。詞の曲への乗せ方が
のところとか、すごい「事変でない椎名林檎」っぽい。このテンションをもってして、曲名に則って彼女にとっての自由を赤裸々に歌う、という、このかんじは事変でなく椎名林檎ですね。事変解散後にこういうロックテイストの曲をもってきたのはあえてだったんでしょうか。初めてこの曲を聴いたとき、僕はいろんな意味で「ああ、東京事変は終わって、椎名林檎がはじまったんだな」なんて思いました。この現し身は驀地(まっしぐら)世界のまん中が視(み)たいTake me there, won't you?混沌(カオス)と秩序(コスモス)の間で待って居るよ
新アルバム「日出処」では2曲目に収録されていて、アルバムの勢いを印象付けるような曲順にセッティングされています。
・いろはにほへと/孤独のあかつき(2013年5月27日)
昨年の5月にリリースされた両A面シングル。「いろはにほへと」は妖艶な曲調に妖艶な歌詞、PVでも和服を纏って色気全開。曲調とリズムが、どこか、あの名曲「歌舞伎町の女王」を連想させる1曲です。
2曲目の「孤独のあかつき」は「いろはにほへと」とは対照的な、事変時代を髣髴とさせるポジティブで力強い楽曲。すみません、MVの動画等はないみたいですので、iTunesの視聴かなんかで聴いて下さい。
こういうシンプルな構成、歌詞、メロディの楽曲でもちゃんとここまでのものに仕上げるところに、彼女の”本物”感を感ずにはいられません。たいへんバランスのとれた両A面シングルです。
・NIPPON(2014年6月11日)
これはまだ記憶に新しいですね。NHKのサッカーワールドカップテーマ曲として起用され、Mステやカウントダウンジャパンなんかでも演奏されてました。現時点での最新シングル「NIPPON」です。
この曲については、このブログでも何回かご紹介してます、音楽ライターの柴さんのnoteにたいへん良いレビューが上がってますのでそれを読んでもらうのがいいんじゃないかと思います。
椎名林檎「NIPPON」/勝ちにいく曲|柴 那典|note
そう、柴さんのおっしゃる通り、この楽曲が林檎氏の楽曲の中にあって特徴的なのは、明らかに一つのテーマを外部から与えられて、それになぞらえて作曲されているのであろう点。「日本」とか「青」とか、「戦士」とか。
それを120%のフルスイングで打ち返したような楽曲になっている。たたみかける曲調。冒頭20秒で言うべきことを言いきってしまう潔さ。ホイッスルの音。やりすぎなくらいにファナティックな曲調。実際、コメンタリー映像では「今まで味わったことのないプレッシャーを感じて、気負って書きました」と、椎名林檎自身が語ってる。「勝ちにいく曲」に徹している。こういう視点で聴くと、また聴こえ方も変わってきて面白いですね。上記記事より引用
・新曲「ありきたりな女」
一昨昨日かな? ついこないだYouTubeにMVが投下された、新曲です。
この楽曲に関して、自身のコメンタリー動画 で「『ミュージカルは林檎に書かせるしかない』と聴いた人に思わせるような曲を書いた」、「女性とは、人に『こうだ』と言われなければ自分がどういう人間なのかを認識しない生き物。でも、そんな女性であっても、私はこういう場面に来てしまったんだ と認識するような瞬間が人生にはある。この曲では誰もがミュージカルのヒロインになるような、そういう瞬間をテーマとして描いている」と語ってらっしゃいます。
曲を聴く前にこのコメンタリーを観た僕は、てっきり前作収録の「都合のいい身体」や、事変時代の「女の子は誰でも」のようなキラキラミュージカル風の楽曲を想像していたんですが、違いましたね。シリアスでドラマチック、かつ感動的な歌詞、構成の楽曲でした。
どれほど強く望もうともどれほど深く祈ろうとももう聴こえないあなたの命を聴き取るため代わりに失ったわたしのあの素晴らしき世界どれほど強く悔やもうともどれほど深く嘆こうとも帰れやしないわたしは今やただの女さよなら、あなた不在のかつての素晴らしき世界
どうなんでしょうか。女性には、これほどまでに、自分の世界を一変してしまうような感覚に陥ることがあるもんなんでしょうか。彼女がコメンタリーにておっしゃっている「人に言われてはじめて自分の人格を自覚する」みたいな話もいまいちピンと来なかった女心に疎い僕ですが、この曲が感動的なのは存分に伝わってまいります。
■新作「日出処」への期待
はい、といったかんじで、前作「三文ゴシップ」リリース時あたりからの椎名林檎名義の名曲が贅沢に収録されたのが、今作である、と言えるわけです。
注目したいのは、これだけそれぞれ強烈な個性を持つ楽曲たちをどのようにして一つの線で結び、1枚のアルバムとして昇華させるのか、という点ですね。今作からのアー写(アーティスト写真)やアルバムのジャケットも、「NIPPON」や「ありきたりな女」にはよく合ってますが、「ありあまる富」や「いろはにほへと」とは随分イメージが違うし、どうしたってこれらを単純に順を追って聴いていくと、ちぐはぐな印象はぬぐえません。
それでも、上記のアルバムの楽曲順を見ていると、そのへんもうまいことやるんだろうなーと思います。2曲目の「自由へ道連れ」で勢いをつけるところや、「いろはにほへと」「ありきたりな女」「カーネーション」「孤独のあかつき」「NIPPON」「ありあまる富」あたりの終盤の流れは、想像するだけで素晴らしい。あとは3曲目以降の未発表の新曲がどんな仕上がりか、というところでこのアルバムの評価が決まるんでしょう。また気が向いたら聴いた感想とか書こうと思いますが、僕はもう期待しかありません。
■新作「日出処」への期待
はい、といったかんじで、前作「三文ゴシップ」リリース時あたりからの椎名林檎名義の名曲が贅沢に収録されたのが、今作である、と言えるわけです。
注目したいのは、これだけそれぞれ強烈な個性を持つ楽曲たちをどのようにして一つの線で結び、1枚のアルバムとして昇華させるのか、という点ですね。今作からのアー写(アーティスト写真)やアルバムのジャケットも、「NIPPON」や「ありきたりな女」にはよく合ってますが、「ありあまる富」や「いろはにほへと」とは随分イメージが違うし、どうしたってこれらを単純に順を追って聴いていくと、ちぐはぐな印象はぬぐえません。
それでも、上記のアルバムの楽曲順を見ていると、そのへんもうまいことやるんだろうなーと思います。2曲目の「自由へ道連れ」で勢いをつけるところや、「いろはにほへと」「ありきたりな女」「カーネーション」「孤独のあかつき」「NIPPON」「ありあまる富」あたりの終盤の流れは、想像するだけで素晴らしい。あとは3曲目以降の未発表の新曲がどんな仕上がりか、というところでこのアルバムの評価が決まるんでしょう。また気が向いたら聴いた感想とか書こうと思いますが、僕はもう期待しかありません。
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