ここ1ヵ月ほど、「音楽を聴く」ことから離れている。
いや、正確には「離れていた」というべきか。


きっかけはちょっとしたことで、ある朝、仕事に出かける際、いつものようにイヤホンを所定の場所からグイっと引っ張ると、イヤホンのチョボ(って呼んでるのは僕だけだろうか。インナーイヤホンのゴム部分)が方っぽ外れており、どこを探しても見当たらなかった。
替えを探しても見つからず、その朝僕は超久々に音楽を聴くことなく電車に乗って通勤することになったのだが、なかなかどうして、これが結構新鮮で気持ちの良いものなのだ。

そもそもこれまでの、通勤中の電車の中やちょっとおでかけする時などのスキマの時間を見つけては音楽を貪り聴くという生活がおかしかったのだが、そこから一転、普通に生活していて聞こえる周りの音に耳を傾けるようになると、けっこういろんなものが見えてくる。
家を出てから駅に着くまでに聞こえる自分の靴音、近所の犬の鳴き声、車の音、ファミマの入店音、満員電車でとなりに立ってるおっちゃんの鼻息、新聞をめくる音、車内アナウンス。これまで一生懸命イヤホンで聴いてきた音楽と引き換えにこういう「生活の音」を放棄してきたということ、そしてこの「生活の音」というのは案外良いものなんだなとしみじみ思った。

それから1ヵ月ほど、僕は音楽と離れた生活を送ってみた。もちろんTVをつけててもコンビニで買い物していても音楽は流れてくるし、完全に音楽と自分を切り離す生活を送ることはできない。「距離を置いてみた」というべきだろうか。それからチョボは見つかって音楽を持ち歩ける状態にはなったが、どうせなら、と1ヵ月ほどiPhoneではもちろん、自宅のコンポでも音楽を聴かない生活を続けてみた。

で、昨日。僕は会社帰りの電車内で大好きな漫画、「のだめカンタービレ」の22巻までを読み終えて(3周目)、その続編を借りに行こうと近所のTSUTAYAに足を向けた。もともとそんな下心などなかったのだが、本当に一時の気の迷いだった。コミックレンタルコーナーで「のだめオペラ編」が品切れ状態であることを確認して落胆した僕は、ふらっとCDレンタルコーナーに立ち寄って、1枚のCDを衝動借りした。

songs of  instrumentalsongs of instrumental
SAKEROCK

カクバリズム
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SAKEROCKのsongs of instrumentalというアルバム。

1ヵ月禁音(?)したのちのSAKEROCK。帰宅後、晩酌しながらコンポで聴くSAKEROCK。
もともと「のだめ」を読んで音楽への意識が大変高まっているタイミングで聴いたせいもあったんだろう。トロンボーン、ギター(たまにテルミン)を駆使して奏でる小気味良いメロディーが耳から身体の隅々まで行き渡る。SPECIAL OTHERSの楽曲とはまた違う、スカインストバンドにしか表現できないほわほわゆったりした世界。本当に最高だった。




そう。音楽なんて、別になくても生きていける。むしろ、友達との時間とか電車でボーっとする時間とか本を読む時間とか、音楽を聴くことに浸りすぎることで失ってしまうものも、たぶんある。

それでも僕たちは、音楽を欲する。

本も漫画もTVも携帯ゲームもインターネットもあるこの時代にあっても、僕たちは相変わらず音楽を聴いている。YouTubeのレディーガガのMVは1億人以上の人が再生してるし、マキシマム ザ ホルモンがツアー開催を発表すればチケットはSOLD OUTする。みんな音楽を求めている。

音楽は無くても生きていける。でもあると生活に彩が生まれる。

生活の中でふと流れる音楽、あるいはCDショップ、TSUTAYA.、YouTubeで自分で選んだ音楽が、思いがけずものすごいヒントになったり救いになったりする。
卒業式の日に聴いた3月9日、「のだめ」最終巻を読みながら聴くベートーヴェン ピアノ・ソナタ31番、京都大作戦で聴いた「風」。
本もTVもゲームそうであるように、音楽もまたそういう娯楽である。

チャットモンチーの「AWA COME」に触発されて買ったすだち酒を飲みながら、昨夜の深夜2時頃、そんなことを考えていた。

今日はイヤホンのチョボを買いに行こうと思う。