お茶吹き出すかと思いました。

 ナタリー - BUMP OF CHICKEN×初音ミク「ray」コラボPV解禁

「BUMP OF CHICKEN feat. HATSUNE MIKU」名義で発表されたこの曲は、彼らの最新アルバム「RAY」のリードトラックを藤原基央(Vo, G)とkz(livetune)のプログラミングによる初音ミクがデュエットしたもの。(中略)先進的な技術を用いて制作されたPVでは、メンバーと「14(イチヨン)モデル」という新たなビジュアルの初音ミクが合成ではなくリアルタイムでの共演を果たしている。
 上記記事より引用
朝寝ぼけながらTwitterみてたらこんなニュースがTLに流れてきて、「これはさすがに虚構新聞だろjk…」とか目ごしごししながら思ってたらまじでした。

(そもそも初音ミクがなんなのかよくわからんって方はこちらをどうぞ→初音ミク - Wikipedia


ちなみに"ray"という曲は、彼らの新アルバム"RAY"のリードトラックで、アルバムには「初音ミクなしバージョン」というか、通常バージョンが収録されていて、このMVは、その発売記念みたいな感じでMV限定で公開されているものです。



これは本当にすごいことで、そもそも バンプの藤くんが他のアーティストとなんかの曲を歌うってことがまず超レア、というか僕の知る限りではこれまで一度もなかったことで、そんな藤原氏が初めてハモりを公開した相手は人ではなかった、という。衝撃です。

アルバム”RAY”の公式サイトに、このMVに関するメンバーへのインタビューが掲載されてました。

7th Album「RAY」 | BUMP OF CHICKENオフィシャルスペシャルサイト

RAY(初回限定盤) (予約特典ステッカー付)RAY(初回限定盤) (予約特典ステッカー付)
―(このコラボをやる、という話になって)戸惑いはありましたか?

直井「最初は4人とも黙ってました。今まで僕らは他のアーティストさんともコラボしたことがなかったんです。そもそも自分たちの中にそういう概念がなくて。だから最初はよくわからなかった。」
「でも、東市さん(このMVでディレクターの人)が持ってきてくださった絵コンテを見て、素晴らしいと思ったんです。リスクはあるのはわかってましたけど、それより「面白そうだ」という気持ちが爆発したかんじでした」
上記サイトより引用 

その後直井氏はGorillazのMVを観て衝撃を受けた体験について話し、「実はこれまでずっと2次元と3次元の融合に興味があった」と話しています。
他のメンバーも同様に「話を聞いた時は驚いた」とする一方で「ワクワクした」 と口をそろえて話しています。

特に、ボーカル藤原氏のコメントはなかなか興味深いです。
藤原「 初音ミクは音符そのもの、音の響きそのものだといいうイメージがあった(略)思想や善悪も何もなく、純粋に音符そのものとして、響きとして存在している。
僕はkzくん(今回の作成に携わったP)の作業を横で見ていただけなんですけれど、プログラミングによっては声に表情が出たりでなかったりするんですよ。そういうふうに、いろんな人の表現のツールになっている。歌を再現するということに対して、とても忠実で、誠実である。そういうところにすごく共感したんです」  

―というと?

藤原「 僕たちはバンドをやる上で、ずっと大事にしてきた思いがあって。僕らは楽曲至上主義で、曲が一番偉いんです。曲が生まれてきたら、その曲が望むような形でアレンジして。再現してあげたい。個々のプレイヤーとしてのエゴよりも、楽曲の声を聞く必要がある。そこに僕たちのすべてがあるんです。(略)曲がそれを望むのであれば、僕たちはその足を引っ張りたくない。(略)」  

―なるほど。楽曲や音そのものに導かれている、というところが共通しているわけですね。

上記サイトより引用 
ふむふむ。藤原氏は初音ミクのPさんの仕事ぶりとこの音楽ジャンルそのものに共感した、と。で、彼らの作った楽曲そのものがこれを求めていたと感じる、と。

 曲そのものの印象については、増川氏がこんなことを言っています。

増川「「ray」が持っている懐の深さがあったというか。いろんな可能性を秘めて生まれた曲だと思うんです。この曲じゃなかったら僕らは今回の共演をどういうふうに考えたかわからないですね。このタイミングで、この「ray」という曲で、だからこそ初音ミクと一緒にやれたんだと思います。」

藤原「そう。この曲が望んだ道だったという感覚も強くありますね。」
上記サイトより引用

 メンバーも最初は戸惑った。でも、”ray”という曲にはこれを受け入れる懐の深さがある。そして曲がそれを望んでいたと感じた。だからコラボレーションの実現に踏み切った、という話だそうです。 

さてどうなんでしょう。たしかに彼らの作り手としてのこだわりや哲学、一曲一曲ときちんと向き合って考えるという姿勢はブレずに感じることができました。「曲が望んだ道だった」という言葉、バンプの藤原氏が言うと、あ、そうなのかな、と思ってしまいます。 


でも僕は。残念ながらこのMVに違和感しか抱きませんでした。

 藤原氏は「初音ミクは音符そのものであり、音の響きそのものである」と話してます。これは「ただのアーティストとのコラボではなく、曲に音色を重ねているんだ」ということが言いたいんだと思いますが、これはあくまで曲を作ってる側の理屈なんじゃないでしょうか。
身も蓋もない言い方をすれば、僕たち一般人が初音ミクの曲を普通に聴いたら、それはよくも悪くも音色ではなく歌にしか聞こえないんです。(ていうか、いくら認知度が上がっていると言っても、初音ミクの声(?)が電子音だって知ってる人の方が、まだまだ一般的には少ないんじゃないでしょうか)。
 「歌を再現することに対して誠実である」と言いますが、それはきっと初音ミクも他のアーティストもみんなそうなわけで。
よって、我々一般人からすれば、「初音ミクとコラボする」ことは他のアーティストとコラボすることとなんら意味は変わらないわけです。


ということは、単純に初音ミクの歌声がこの"ray"という曲に合ってるのかってことを考えねばならないんですが。

どうですか。率直に言って。

どうしても。どうしても僕はこのボーカロイドの声と藤原氏のハモりには、違和感を覚えてしまいます。この独特な高音は人の声と相いれないものに聴こえます。
ところどころで初音ミクの声がかぶさってくると「え?」っと画面を二度見してしまうし、彼女(?)の声単体が間に挟まってきても同じくなにか変な風に聴こえてしまう。「バンプの曲に初音ミクの歌を重ねた」風にしか聴こえないんですよね。ニコ動の二次創作としてやるなら面白いとは思いますが、これをアーティスト本人にされてしまうと…違和感、です。


いやいやもちろん初音ミクそのものは素晴らしい音楽の一ジャンルだと思いますよ。「メルト」とか「ワールドイズマイン」とかよく聴いてました。
初音ミク ベスト~memories~初音ミク ベスト~memories~
あの「人の声を音楽ソフトで作る」という発想を知ったときはたいへんな衝撃を受けた記憶があります。こういう音楽はどんどん進化していって、いつか人間のバンドとコラボしてほしいという思いもありました。
そしてバンプの、この新しいものと融合しようというアグレッシブな姿勢そのものもたいへん良いことだと思います。上記インタビューでいっぱい書いてるように、MVの芸術性そのものはほんとに、文句のつけようもない素晴らしいですし。

それでもあの曲のクオリティに関しては…もうちょっとやりかたがあったんじゃないかなあ…と。ある程度古参のファンとしては思ってしまうんですよ。


まあいずれにせよ、いろんな意味で物議をかもすというか、賛否両論出るのは間違いないかと思いますこのMV。そういう意味でおすすめです。どんな世代のそれぞれどんな人にどんな受け入れ方をされていくのか、大変興味がございますので今後も注視していきたいと思います。